バラク・オバマ大統領率いる米国の新政権が、北朝鮮と積極的に対話を行なうものの融和政策を広げるつもりはない、という立場を任期初めから明らかにしている。

◆北朝鮮の企業に制裁措置

　米国国務省は2日、北朝鮮がテポドン2号ミサイルの発射実験を準備している兆候がとらえられる中、北朝鮮の企業3社がミサイルおよび関連技術の取り引きに介入してきたとして、制裁措置を取った。国務省はフェデラル・レジスター（官報）を通じ、朝鮮鉱業貿易開発会社（KOMID）、モコン（Mokong）貿易会社、シノキ（Sino-Ki）の北朝鮮企業3社に対し、今後2年間、米国との貿易を一切できないようにした。武器輸出統制法などに依拠して実施される対北朝鮮制裁措置は、米国の歴代政権が毎年恒例のものとして行なってきており、異例なことではない。しかし、制裁対象の常連であるKOMIDのほかモコン、シノキという会社が初めて登場したのが特徴だ、とワシントンの外交消息通は語った。

　米国と北朝鮮は外交関係がなく、今回の措置がなくとも、問題になる北朝鮮の企業が米国と貿易する可能性はほとんどない。しかしこれは、オバマ政権で初の対北朝鮮制裁、という象徴的意味がある。北朝鮮は昨年、米国のテロ支援国家リストから削除されたが、依然として「問題ある国家」とみなしていることを明らかにしたわけだ。オバマ政権の「好意」を期待していた北朝鮮から、これに対し「敵対的措置」という反発が出る可能性がある。

　この措置は、大量破壊兵器（WMD）拡散に厳しく対応するというオバマ大統領の政策方向と一致している。オバマ大統領は、3日のCNNとのインタビューでも、「米国国民を保護することはわたしの最も大きな任務だ」と語った。

ワシントン＝李河遠（イ・ハウォン）特派員

◆国連安保理決議第1718号を活用

　オバマ政権は3日、「北朝鮮がテポドン2号ミサイルの発射を準備していることは、国連安全保障理事会決議違反だ」として、実際に発射が行われた場合、国連を通じた制裁を進める可能性を示唆した。国務省のロバート・ウッド副報道官はこの日、「北朝鮮の弾道ミサイル発射は（東北アジアの安全保障に）助けとならず、単に挑発的な行為となる。国連安保理決議第1718号により、北朝鮮のミサイル関連活動は禁止されている」と強調した。国連安保理は北朝鮮が06年10月に核実験を実施した直後、決議1718号を採択し、「北朝鮮の弾道ミサイル開発プログラムと関連するあらゆる活動の中止」を明示している。

　オバマ政権は6カ国協議を通じ北朝鮮の核問題を解決し、北朝鮮にこれに協力する場合は正常化を進める、という計画を持っている。

　しかし、「積極的な対話」が対北朝鮮政策の原則を弱めると解釈されることを警戒する雰囲気もある。ホワイトハウスの発表によると、オバマ大統領は李明博（イ・ミョンバク）大統領との電話で、「北朝鮮の核兵器と開発プログラムの検証可能な除去」を政策目標として提示した。北朝鮮がこれに応じた場合には両国間の和解の雰囲気が熟するが、問題を起こした場合には断固として対処する、という立場だ。

　実際、オバマ政権の「韓半島（朝鮮半島）政策三人衆」に挙げられるカート・キャンベル国務省東アジア・太平洋担当次官補（内定）、ウォーラス・グレッグソン国防総省東アジア・太平洋担当次官補（内定）、ジェフリー・ベーダーNSC（国家安全保障会議）アジア担当先任補佐官は、北朝鮮の核問題に関する6カ国協議で米国代表を務めるクリストファー・ヒル国務次官補が多くの譲歩を行なった、と批判的な立場を取っている。

　ワシントンの外交消息通は、「オバマ政権は、可能な限り北朝鮮と交渉を通じ問題を解決していくという立場を取っているが、北朝鮮が協力しない場合は、むしろ第2期ブッシュ政権よりさらに強硬な政策を取ることもあり得る」と語った。

ワシントン＝李河遠（イ・ハウォン）特派員